1週間前に山頂気温-15度の寒波が来て、完全に雪山と化した槍ヶ岳。山荘は11/3まで営業なので、滑り込みでテント泊に行ってきました。
雪が降ると人は来なくなるようで、登山者には1人も会いませんでしたが、それがとても良く、とても静かに、槍ヶ岳登山を満喫できました。
夕焼け、月光、朝焼け、澄んだ空気で遠くまで見える景色は何と美しいのでしょう。また、槍ヶ岳から南岳へのルートはアドベンチャーで、楽しく雪山を先取りできました。
場所:岐阜県、長野県
日程:2023年10月30-31日(月火)平日
累積標高登り降り:1日目2693/658m、2日目446/2480m
歩行距離:29.8km(1日目14.2km、2日目15.5km)
登山時間:1日目9時間20分、2日目8時間
出会った美しい自然
槍ヶ岳手前から見る西鎌尾根、双六岳方向。
槍ヶ岳山頂から穂高岳方向。
360度絶景の貸切。
穂高連峰。
沈む太陽。
月の出。
月光と槍ヶ岳。
ビーナスライン。
南岳への縦走等。
南岳山荘と大キレット。
日程と装備
ルート
1日目
新穂高から奥丸山経由で槍ヶ岳。
04:40駐車場→10:00奥丸山→14:00槍ヶ岳山荘、テント設営とか、15:40槍ヶ岳へ→16:00槍ヶ岳、40分撮影→17:00テント着
(夕焼け撮影、18:00夕食とか、19:20月光撮影、19:40就寝)
登山時間:10時間(標準CT:10時間15分)
2日目
南岳経由で下山。
(03:30起床、トイレ、朝ごはん、片付けしてたら朝焼け始まり、撮影してたら出発遅くなった)
登山:06:40出発→10:00南岳→12:20槍平小屋→15:00駐車場
登山時間:8時間20分(標準CT9時間)
山行中の気温はこんな感じで、あまり冷えませんでした。
駐車場
新穂高第3駐車場(登山者用無料駐車場)。雪が降るとめっきり減るらしく、4,5台しか停まっていませんでした。
装備
行動時
今週はまだ冷えるのか?山頂気温、天気予報とにらめっこし、-5度程度と予想。冬靴?アイゼン?ハードシェル?ソフトシェル?防寒着は?季節の変わり目の装備選びに悩みました。
- 行動着上(冬インナー、半袖、ソフトシェル)
- 行動着下(スポーツタイツor冬インナー、防風ソフトシェル)
- 足元(冬靴)
- 帽子orバラクラバ
- サングラス
- ヘルメット(必要時)
- 手袋(インナー+防風)
- ストック
- アイゼン
カメラ関係
- カメラ(α7Ⅲ、SEL24105F4、SEL1635F4)
- 三脚(ゴツメ)
- 予備バッテリー、レリーズ(使用せず)
テント関係
- テント、フライ
- グランドシート
- エアーマット
- 寝袋(ダウンハガー#1)
服
- ハードシェル上(使用せず)
- レインウェア下(使用せず)
- 防寒着上(ダウン、フリース)
- 防寒着下(ダウン)
- 寝る様(ヒートテック上下)
- ゾウ足
- 着替え(半袖)
- 手袋(インナー1、冬用2)
食料関係
- ドリンク(1日目:行動中1.5L、夕飯で0.5L使用、2日目:2Lで不足)
- プラティパスボトル、水はテント場で補給
- コンロセット
- 1日目:昼(パン)夜(カップ麺、アルファ米、ソーセージ、卵)行動食(バー1、ゼリー1)
- 2日目:朝(チーズ、卵)行動食(バー2、ゼリー1)
その他
- 小物(救急セット)使用せず
- モバイルバッテリー
- メガネ
- トイレ紙
- ゲーター(使用せず)
- ピッケル(使用せず)
全装備、21.6kg(水含む)。綺麗に並べる元気がなかったので雑多ですが…
04:40暗いうちに駐車場出発。まずは新穂高のトイレへ。え、夜でも暖房?そしてウォシュレットもある。最高すぎじゃないですか?寒いとこに出たくない…笑。
まずは延々と暗い林道を進み、奥丸山のルートへ。
記録は乏しく、人はあまり入っていないであろうルートなので不安でしたが、そこまで荒れておらず藪漕ぎもないので問題なかったです。
笠ヶ岳方向、抜戸岳。登るに連れて眺望が開けてきて、北アルプスの山々が出迎えてくれます。
穂高岳方向。上だけ雪がついて、3段紅葉と言っても良いのでは?
10:00奥丸山到着。ここまで来ると、笠ヶ岳、双六岳、穂高岳、そして、槍ヶ岳。かなりいい景色です。大休憩して、昼ごはんにします。だーれもおらず、虫もいないため、とても静かな山行です。ネックは冬靴が重たいぐらいで、この時は履いてきて失敗したかなと反省してました。(上に見える白い世界では必須なので、履いてきて良かったのですが)
ここからの景色はもう最高。小さな小屋と後ろに双六岳たち。
穂高連峰は格別ですな。
唯一の欠点は、ここから見る槍ヶ岳がイマイチなぐらいです。YAMAPには載っていない尾根ルートですが、ちゃんと道がありました。
槍ヶ岳に近づくにつれ、ガッツリ雪が出てきました。
誰か下山しています。小さい。
登ってきた道を振り返ると、いい景色。真ん中が奥丸山ですが、主峰に囲まれた小山ですね。
槍ヶ岳まであと30分ぐらいの所で、がっつり雪が出てきて、登山道が埋まり、滑ると危ないかもの直登です。アイゼンを装着し、ピッケルは悩んだのですが、ガチガチではないため、ストックのままですが、普通はピッケルが無難でしょう。
踏み跡のように見えたのですが、トレースはなく、どこが登山道かもわからないので、少し困りつつ直登。
西鎌尾根と双六岳方向。こりゃ間違いなく縦走したくなるルートです。
14:00槍ヶ岳山荘到着。テラスで2人がのんびりしてましたが、山小屋に泊まる人は3人で、テントは私だけとな!雪が降るとめっきり人が減るそうです。
もしも槍ヶ岳山荘がいっぱいだったら、殺生ヒュッテに行かなきゃと考えていましたが、まさかテント貸切とは。
槍ヶ岳に登る前に、まずはマイホーム建設です。雪がない場所はなく、初めての雪上テント泊でワクワク。どこからの景色が良い?トイレの近くが良いよね?とどこでも良いと言われると悩んだ末、山小屋に近い場所を選択。正直どこも景色良いですね。
風がないため、適当に荷物を広げて、少しづつ。雪上テント泊は、整地が重要らしいと何かで見た。傾いていたら凸凹があると建てた後後悔するとか?スコップは持ってきてないので、ピッケルで整地しましたが、いけるもんですね。
雪が緩く、ペグが刺さらない!埋めて雪を被せる作戦でしっかり固定。完成!地面は少し凸凹でしたが、エアマットがあれば何も気になりませんでした。
15:40いざ槍ヶ岳へ。山荘で聞いたところ、上部はアイゼン必須でピッケルはなくても良いとのこと。その通りでしたが、ピッケルはあったほうが良かったです。
雪で岩が埋まると急な雪壁になるため、難易度爆上がりです。今回は鎖が出てたからまだ良かったですが、それでも下りは危険でした。もし埋まってたら、無理かもしれません。
アイゼンで引っ掛けてこけないよう、ハシゴも慎重に。
16:00槍ヶ岳到着。むかーしの記憶では狭い印象でしたが、結構広い。三脚立てて記念撮影。
360度絶景です。遠くまで美しい山々、影槍ヶ岳、雪のついた穂高連峰、滝雲。風もなく、寒くない為、無限にいられると思っていたら、40分経過してました。
穂高岳。
富士山。
影槍。
貸切。
笠ヶ岳。
こんな最高の景色を貸切で見れる贅沢。今日、今、ここに来れて良かったと本当に思いました。
世界がゴールデンになってきて綺麗なのですが、ヘッドライトも持ってきておらず、冷えて凍るとピッケルもないためやばい…と思いながら降りたくない気持ちが強く撮影を楽しみます。
穂高岳。この構図が好きで何枚撮ったかわかりません。
16:40流石に暗くなる前に戻るため、下山開始。
登りはそうでもなかったのですが、やはり下りとなると怖いです。槍ヶ岳は登りと降りでルートが違いますが、ちゃんと降りルートで行ったほうが安全です。
ゴールデンからオレンジに変わり、こんな中腹で夕焼けを見る予定ではないのに…撮りたい気持ちも強いですが、早く安全地帯に行って自分の命を安心させたい。
上部が危険でしたが、下まで来ると鎖が多く一安心です。
ゴールデンタイムも終わりを迎えようとしています。
17:00テント到着。ここまで来ると一安心。
テントに到着する頃にはもう日が沈みそうです。今日は空気が澄んで、なんで綺麗な夕日なんでしょう。
赤槍。
太陽、おやすみ。
上の槍写真の2分後にはこんな景色。全てが美しくて、コロコロ変わります。
夜が、来ます。
夜が来るとまたもや見所、ドラゴンボール!月の出!
18:00正直まだまだ撮りたいところですが、ひと段落して、晩御飯タイムです。カップ麺やアルファ化米など、毎回簡単飯です。スーパーで目について購入した、味付け卵、炭火焼き鶏が結構良かったです。
19:20夕食が終わり、外の世界はどうなったかなと、月光撮影開始。気温は0度ぐらいで寒くないはずですが、体感は低く感じるため、以下の格好で丁度でした。
- 上(網インナー、ヒートテック、ダウン、ソフトシェル)
- 下(網タイツ、ヒートテック、ダウン、ソフトシェル)
- 手(インナー、防風手袋)
星はほとんど見えませんが、月光に照らされる景色も綺麗です。ヘッドライトはギリギリいる明るさで、肉眼ではここまで見えないのですが、撮ってみて、お!となる撮影は楽しいです。
19:40就寝。上(インナー、長袖)、下(インナー、ダウンパンツ、ソフトシェル)、ゾウ足で快適。夜の気温は-4度とあまり冷えなかったので、寝袋#1だとオーバースペックでした。
03:30起床。03:00起床予定が、寝袋から寒い場所に出るのが嫌すぎて、二度寝してしまいました。カップ麺作るのが面倒になり、行動食をつまんで、トイレを済まし、行動開始!
05:00気づいたらこんな時間。本当はこの時間に出発予定だったのですが…。まずは星空撮影です。ダウン+ソフトシェルで問題ない気温。月が明るく星は見えませんが、これはこれで撮っていて面白い。
05:30片付け出すも、次は朝焼けタイム!大喰岳からの槍ヶ岳が綺麗なようなので、朝焼けまでにそこまで行きたいと思う時もありました…。これはもうここで朝日を迎えよう。
06:00朝日の時間になると、山小屋宿泊者全3名が出てきました。
ビーナスベルトがとても好きなのですが、今日のは特に濃く、堪りません。
06:00太陽おはよう。
地味に自撮り。
本格的に片付け再開!埋めたペグは、朝になると雪が凍って、ピッケルで掘らないと発掘不可な状態でした。しっかり固定できてるからまぁこれもありです。地面も凍ったおかげで水も付かず、テントの片付けが簡単だったのは嬉しい誤算でした。
06:40出発。5時出発予定だったのですが…撮影しすぎが1番のロスの原因ですが、こればっかりは仕方ない。まずは、大喰岳(おおばみだけ)へ。
普通に雪山で、岩と雪のミックスで落とし穴も多く、想像以上にヤバいかも…。
07:30大喰岳。確かに良い景色。
雲ひとつない快晴。風は少しあるが寒くはなく、上下ソフトシェルに防風手袋と、セミ雪山装備で丁度良い。
気持ちよさそうに見えますが、崖の真横を行く岩場に雪がついたようなルートもあり、知ってたらこのルート辞めてたかも…と挫けそうな気持ちです。
ここまできたら諦めもついて、気合を入れてこの季節外れの雪山を楽しむ気持ちになってきました。ちなみにトレースはずっとありません。
08:30中岳。最後の岩場、ハシゴもあり、槍ヶ岳山頂へのルートみたいで、大荷物での山行はきつかったですが、危険地帯は抜けました。集中してて、危険箇所の写真撮り忘れてました…。
いざ、若干見える南岳山荘へ。そこから降りです。
槍ヶ岳よりもこっちの方が雪が多く、予定外の道の悪さに異常に時間かかってます。
近づくとどこから行くんだと思うルートも多数。動物が良いトレースを残しており、ついて行ってます。
まだ10月にシュカブラとは。
後は平和な道!に見えるでしょう?岩の上に雪が積もっており、めっちゃ落とし穴があります。ほんとにやめて欲しい。
振り返って槍さん。
3段紅葉の上からパターン?紅葉ない?
09:40南岳。やっと危険地帯が終わり、無事に辿り着いて良かったと一安心。
あれか!あれが、大キレットか!
初めて見た大キレット。今まで来たルートから考えても、雪がつくと到底行けると思えません。
一安心して、のんびりご飯タイム。だーれもいない静かな素晴らしい場所。
さらば大キレット。夏に来るね。
後は降るだけだし、余裕余裕とか思いながらですが、雪がつくと印象も変わりますね。
あれ?何か崖の横でしかも雪付きで滑ったら落ちるやつやん?これが最後の危険箇所でした。
この場所、真冬なら雪崩の巣で通れたものではない気がします。
どこから降って来たんだろう?
下界は秋。
槍平山荘見えてますが、異常な程の急な道に冬靴の重さもあり、もういいからお家に帰りたい。
槍平通過!ここで、水分切れ…。昨日は1.5Lで行けたから、2Lあれば良いとミス判断。後は平坦な道だからまだ良いが、反省。
初めての登山者!思ったら山小屋関係の人でした。
林道が長い!後1時間。車で迎えに来てくれたら、3000円までなら払います。
下界は秋ですね。
15:00下山!
正直、雪がついたこのルートをテント泊装備で行けたのは、運が良いタイミングだったと思いますが、最高の山行でした。
今回の山行で活躍した道具
カメラ装備
カメラバッグは自力で編み出した方法で使っていますが、本当に便利です。
ノースフェイスのカメラバッグ
α7Ⅲは登山の相棒です。寒冷地でも十分使用できるのでα7IIから乗り換えました。
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登山は基本SEL24105F4。これ一本あれば十分です。
登山装備
値段は高いが、それに見合う素晴らしいソフトシェル。防水ではないですが、防風性能は高く、よっぽどの爆風でない限り雪山でも活躍しています。4年使っても新品同様の丈夫さ。
ファイントラックのコアノパンツ。雪がつかず、防風性能に優れており、ハードシェルの代わりに度々使ってます。
アクティブスキン上下は雪山必須装備です。汗冷えを感じません。
インナーはスマートウールのライナーグローブ。それなりに暖かく、スマホを触る感度も良いので愛用しています。
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アライテントのエアライズ2。定番のテントだけあって特に問題なく使えてます。ただ、サイズはエアライズ1で良かった…
冬でも大活躍してくれる、サーマレストのネオエアーXライト。レギュラーサイズでちょうど良い。
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その他山行
オススメの雪山です。
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オススメの沢登りです。
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