欅平から黒部ダムへ。憧れの登山道、水平歩道と下ノ廊下へ行ってきました。
黒部にケガなし。上手いこと言ったものですね。
・高くそびえる崖に囲まれた黒部峡谷
・狭い登山道の50cm横は助からない垂直な崖
・黒部の奥地にある阿曽原温泉
・圧倒的スケールの黒部ダム
・立山の大紅葉
黒部峡谷の奥地、よくここに道を作って、ダムを作ったなと、土木技術の本気を感じる山行でした。2年ぶりのテント泊は、車の移動の時からワクワクで、山でのんびりできることが嬉しくて、景色も最高で、幸せな2日間を過ごせました。
場所:富山県
日程:2021年10月10-11日(日月)
始と終の標高差:1日目400m、2日目700m
歩行距離:27.8km(1日目10.2km、2日目17.6km)
登山時間:1日目4時間20分、2日目7時間
出会った美しい自然
始発電車で見えた剱岳に、今から行くルートに想いを馳せる。
岩を抉って作られた水平歩道。
水平歩道の1番細い場所、大太鼓は刺激的。
山奥にある阿曽原温泉。堪らん最高。
満点の星空とテント達。山奥には街の光なんて届かない。
黒部にケガなし。
川沿いを行く下ノ廊下。
黒部峡谷の壮大さとそこに道を作った気合を感じる。
歩いたからこそ感じる黒部ダムの大きさと、この山奥にある異様さ。
立山の大紅葉は圧巻。
日程と装備
ルート
立山駅に車を置いて、始発電車で宇奈月温泉からのトロッコ列車で欅平に行き、水平歩道を通って阿曽原温泉。下ノ廊下を通って黒部ダム、アルペンルートで立山駅に戻るルートです。
逆ルートも考えましたが、立山駅側からだと黒部ダム発の時間が遅くなり、阿曽原温泉への到着が18:00以降になる予想だったので辞めときました。
1日目
(トロッコ列車:08:17宇奈月温泉→09:10欅平(定刻は09:33でしたが早めに到着))
登山:09:30出発→11:50大太鼓→13:50阿曽原温泉
登山時間:4時間20分(標準CT:5時間20分)0.8
2日目
(04:00起床、朝ごはん、片付け)
登山:05:10出発→06:10仙人谷ダム→07:50十字峡→11:50黒部ダム→12:10黒部湖駅
登山時間:7時間(標準CT9時間5分)0.8
駐車場
立山駅に1番近い駐車場に停めれました。離れますが駐車場は複数あるので、停めれないことはないでしょう。www.alpen-route.com
装備
- 行動着上(インナー、半袖)
- 行動着下(スポーツタイツ、半ズボン)
- 足元(3シーズン靴)
- ヘルメット
- カメラ(α7Ⅲ、SEL24105F4)
- ミニ三脚
- ドリンク(1日目:2L使用、2日目:2.5L使用)
- プラティパス、水はテント場で補給
- コンロセット
- ウィンドシェル(使用せず)
- レインウェア上下(使用せず)
- 小物(救急セット)使用せず
- テント泊装備(テント、フライ、グランドシート、エアーマット、寝袋)
- 防寒着(ダウン上下)使用せず
- 寝る様(ゴツい靴下、バラクラバ)使用せず
- 着替え(半袖半ズボン)
- その他(モバイルバッテリー、メガネ、時計、手袋、トイレ紙、マスク)
- 行動食(バー2、ジェル1)
- 1日目:昼(パン)夜(カップ麺、アルファ米、ソーセージ)行動食(バー2、ゼリー1)
- 2日目:朝(カレーメシ、ソーセージ)行動食(バー6、ゼリー1、ナッツ)
16.1kg(水含む)。危険な登山道なので荷物絞りました。いつもなら20kg越えちゃいます。
1日目(立山駅→欅平→阿曽原温泉)
立山駅→欅平(電車、トロッコ列車)
05:20立山駅発の始発で、宇奈月温泉駅へ。窓から見える剱岳、ビーナスベルトは美しく、貸切の電車で1人テンションが上がります。
久々に電車に乗ったけど、富山の電車のポテンシャルやばい。
— Ken (@Ken_enjoy) 2021年10月9日
立山連峰ずっと見えてるし、
ビーナスベルトまで見えてるし、
最高すぎる。 pic.twitter.com/EWPhmMAT6o
富山県民は、この美しい剱岳と共に暮らしていると思うと羨ましいです。
宇奈月温泉からトロッコ列車で欅平へ。観光客に混ざって黒部峡谷の景色を楽しみます。
欅平→水平歩道→阿曽原温泉
09:30ヘルメットを装備して、身を引き締めて登山スタート!
少し登ると展望所があり、これから向かう山奥を眺めます。
10:10登り出しから40分と、結構すぐに水平歩道の始まりです。
水平歩道始まりと共に崖ルートです。
番線はルート全箇所にあるので、右手は常に掴める位置に!
50人ぐらいとすれ違いました。狭い場所もありますが、すれ違えない程ではありません。ただ、すれ違う時は山側で止まること!谷側で止まり、ザックでもぶつけられた時には…
遠くから見ると凄い場所を進んでると感じますね。
いい感じに抉れた岩があったので記念撮影。今日は軽量化のためミニ三脚で、外付けはしてません。
本当に水平に作られた道!広くはないですが、元気に歩いている分は滑落することはありません。
ヘッドライト必須トンネル!
中には水が溜まっており、ギリギリ濡れずに行ける溜まり具合でした。トレランシューズだとびしょ濡れコースです。
土砂崩れの内側にトンネルがありました。
11:50有名な大太鼓。下ノ廊下含めて1番細く、高度感がある箇所です。
個人的な感想ですが、正直なところあまり怖くなく、普通に写真撮る余裕があるのです。
水平歩道の核心部。
— Ken (@Ken_enjoy) 2021年10月11日
わざと怖く見えるように撮ってます。
確かに黒部に怪我なし! pic.twitter.com/uTIYQSnmNi
直近の事故履歴では、ここでは滑落はないようです。みんな集中するので、一歩一歩しっかり進むのでしょう。
こういう高度感を感じない様な場所こそ危ないのだと思います。疲れてきて、判断が鈍り、集中力が切れてくる時が危ないのだと思います。
阿曽原温泉が見えてきました!
13:50阿曽原温泉到着。マスクを付けて受付へ。テント代1000円+温泉800円。ビールやジュースも売ってます!
阿曽原温泉でのんびり
まずはお家を設営!まだ10張りぐらいなので、場所選び放題です。
トイレは水洗が4つあり、トイレットペーパーは付いてないので持参必要です(紙はトイレに流しても良いとのこと)。水は、蛇口から美味しい冷たい天然水が出てきます!
テントからはまずまずの景色です。谷なので夕日も朝日も特に見えませんでした…
いざ、露天風呂へ!奇数時間が男性、偶数が女性、20時以降は混浴でした。
15:00阿曽原温泉!5分程降ると到着!サンダルだとちょっと辛そうでしたが、許容でしょう。誰のかわかりませんが石鹸があったので拝借させてもらいました。
最高か。一瞬の貸切です。
湯気が出てるところは天然のサウナになっており、奥まで行くとあっつい源泉洞窟風呂がありましました。(熱すぎて入れません)
16:00 風呂から上がり、のんびりと晩ご飯。何とテントお隣さんが愛媛から来てて私と同郷!黒部に毛がなしと小ネタを挟むおじさんです。ワインまで頂いて、2時間ぐらい山談義を楽しみました。
あっという間に時間は経ち、19時。暗くなってからも到着する人はおり、全部で40〜50張りぐらいでした。
街明かりの全く届かない場所なので、満点の星空と、天の川もちらっと見えました。本日2度目の温泉に入りながら星空も楽しみました。
おやすみなさい。夜は15℃程度あり、半袖半ズボンにコンフォート3度の寝袋でちょうど良かったです。
2日目(阿曽原温泉→下ノ廊下→黒部ダム→立山駅)
阿曽原温泉→下ノ廊下→黒部ダム
04:00起床。朝風呂入ろうか悩むもそこまで時間がないので辞めて、カレーメシを食べ、のそのそと片付けます。みんなこの時間から活動していました。
05:10出発!もう寝ている人の方が少ないかな?
黒部ダムまでも、ずっと崖は続きます。
関西電力の人見寮。こんな場所にあるとは、凄い。冬季用の通路もあったので、冬でも常駐する人がいるのでしょう。大きな建物が2棟ありました。
その先は、ダムの施設内の通路を使わせてもらいます。冒険してる感があって凄く良いです。
登山ルート外への侵入禁止の看板はありませんが、道を逸れて冒険せずに進みます。
ダムカードもらえますかと聞いた人が大勢いたのだろうか…確かにダムマニアには堪らん場所でしょう。
06:10ダム施設から出ると、仙人谷ダム。素晴らしいゴルジュ地帯だ、遡行したい。
こんな山奥の場所にダムがあるのが、ただただ凄い…
光が素敵な道。ダム用の平坦な道が少し続きます。
よく揺れる吊り橋。この橋が今回の山行で1番怖かったかもしれません。滑りませんでしたが、木って、滑りそうで怖い…
あ、猿。喧嘩してて、軽く落石してたからやめてほしい。
発電所が岩の中に埋まっている…?マジでどうやってつくったんだ…?
下ノ廊下も、水平歩道と同じ崖ルートです。
S字峡凄まじい廊下です。
黒部にケガなし。
十字峡の上の吊り橋。それなりに揺れるので怖いです。
右の岩の上まで行けるルートがあります。
川の近く、岩の上まで降ります。滑る箇所もあり、ロープがなかったら登るのは困難です。
07:50十字峡の滝見台に到着。かなり川に近く迫力満点です。さっき渡った吊り橋が上にあります。
濡れた岩がツルツルに滑って危険です。
これぞ黒部峡谷。道が非常に小さい、何というスケール感でしょう。
一箇所シャワーポイントあり!崖スレスレを行けば濡れずに行けますが…濡れながら安全な壁側を進みます!わざわざ傘がいるレベルではありませんでした。
技術力を感じる道。
下ノ廊下の方が川に近くて景色も変わるので楽しいです。
自撮り〜。
下ノ廊下。
— Ken (@Ken_enjoy) 2021年10月11日
水平歩道よりこっちの方が、黒部川の景色が綺麗で、楽しめた。#下ノ廊下 pic.twitter.com/i9oM7tK8uh
これが下ノ廊下か。下は川とはいえ、落ちれば普通に岩に激突です。
しっかり整備されており、それなりに広い幅の道がずっと続きます。
周りは見上げるほど高い岩に囲まれた場所。
人はちっぽけだ。
木道を登って降るポイントで、少し渋滞してて、待っている間、登山ガイドさんと雑談を楽しみました。登山ガイドも興味あるよね〜。
ガイドさん曰く、木道登らなくても行けるとのことなので、ショートカット!岩が崩れかけており、安全のために上に木道を通したみたいですね。
人の重みでこの岩が崩れるとは思えないけど、確かに崩れそうでした。
これ登るの大変だもんね。
阿曽原温泉を出て4時間。疲れてきてからが危ないので、気を引き締めて行きます!
来た道を振り返る。凄い壁に囲まれた場所ですね。
冬はどれだけ雪が積もるのやら、まだ雪が残ってました。
一直線の直瀑。双門の滝が思い出されます。
地面に近くなってきたら、あと1時間ぐらいで黒部ダムです。水平とはいえ、地味に登り降りがあり、疲れは溜まります。
支流の沢に双耳の岩山がカッコ良い。
もう少しで黒部ダムが、
見えた!放流している割には轟音が余り聞こえません。散水して上手いことばら撒いてる感じですかね。
最後のダムまでの登りが地味に辛いですが、もう危険地帯は終わり、緊張感が抜けました。
11:50黒部ダム到着!初めて来ましたが、すげぇ。でけぇ。素晴らしい!
黒部ダム→立山駅(アルペンルート)
観光客に混ざり、もう登山は終わりです。一観光客として、この素晴らしい景色を楽しみましょう。
アルペンルート高いですが、来る価値ありますね。
この下流の奥地から歩いてきたぜ!
さらば黒部ダム。素晴らしい建築物でした。
12:10色々な乗り物を乗り継いで、立山駅に帰ります。
ワープ。
狙ってなかったのですが、立山の紅葉はピークで、素晴らしい景色です。水平歩道と下ノ廊下より、この景色の方が綺麗かも…。
素晴らしい展望台。
ロープウェイは絶景の空中散歩ですな。
立山は真っ白け。予報では昼から雨だったので、よく今まで持ってくれたなと。
バスやレールを乗り継いで、14:27に立山駅到着。水平歩道、阿曽原温泉、下ノ廊下、立山の紅葉、長い濃い幸せな2日間でした。
今回の山行で活躍した道具
カメラ装備
カメラバッグは自力で編み出した方法で使っていますが、本当に便利です。
ノースフェイスのカメラバッグ
α7Ⅲは登山の相棒です。寒冷地でも十分使用できるのでα7IIから乗り換えました。
登山は基本SEL24105F4。これ一本あれば十分です。
ミニ三脚Leofoto MT-03+LH-25。カメラバッグに入れられるサイズなので、ザックを下さずに撮影可能。また、星空撮影でも、ズレなくカメラを固定できました。
登山装備
夏山ではスキンメッシュが重宝します。汗びえしないのはやはり良い。
アライテントのエアライズ2。定番のテントだけあって特に問題なく使えてます。ただ、サイズはエアライズ1で良かった…
冬でも大活躍してくれる、サーマレストのネオエアーXライト。レギュラーサイズでちょうど良い。
その他関連記事
過去に特に心が震えた登山のまとめです。
その他山行
オススメの雪山です。
オススメの沢登りです。