冬には氷壺で有名な百四丈滝(ひゃくよじょうのたき)。滝裏に入れる滝としては国内最大級の落差90m。遠くから眺める安全な登山道はあるものの、そんな遠くから見ても滝の素晴らしさを感じきれません。昔は安全な登山道がなく、一般登山者の目に触れない幻の滝だったようです。そんな幻の滝目指して日帰り沢登りしてきました。 (時期的に冷たいので沢はなるべく避けて通りましたが、それでも膝まで水に入りました。)
個人的沢レベル:沢3級(非常に危険なルートです。それなりな技術を身に着けた上で挑んで下さい)
オススメ度:★★★★☆
場所:石川県
日程:2018年10月21日
獲得標高:1674m
歩行距離:19.9km
登山時間:11時間
地図:YAMAPリンクをどうぞ
(https://yamap.co.jp/activity/2569212)
出会った自然の造形美
百四丈滝全貌。そそり立った岩壁から落ちる水は美しい。滝壺は水しぶきが激しく、冷たい氷の世界。
滝の裏側から。オーバーハングの岩壁から水が落ちてきます。
落差が大きいので、滝の水が地面に着くまでにいろいろな姿に変わります。まるで動物の群れに見えませんか?
登山計画
ルート
駐車場:マイカーを岩間温泉に駐車しました。トイレ付きの駐車場です。
05:00岩間温泉→06:30入渓→08:50三段滝→10:00黒滝落ち口→10:30百四丈滝(滝見1時間15分)11:45出発→12:10黒滝落ち口→13:20三段滝→15:00入渓点→16:00岩間温泉
登山時間:11時間(日帰りの記録は少なく、時間は個人差が大きいです。私は早いほうなので、参考にしないで下さい)
装備
- 服装上(インナー、半袖、レインウェア)
- 服装下(インナー、半ズボン)
- 足元(沢靴)
- ヘルメット
- カメラ(α7II、SEL1635F4)
- 三脚
- 昼ごはん
- ドリンク2L(1.5L使用)
- 小物類(ヘッドライト、救急セット)使用せず
- 沢登り装備一式(ハーネス、スリング、エイト環、ロープ20m)
登山
駐車場→入渓点
05:00駐車場発。駐車場から入渓点までは車も通れる林道を楽々進みます。整備された道であれば沢靴でも問題ありません。紅葉がとても綺麗でした。
入渓点では何か工事していました。ここまで車で来れるのは羨ましい。
林道終点→三段滝
06:30入渓。三段滝まで難所もなく長いゴーロ地帯です。水量は少ないですが、渡渉地点は何箇所かありました。
モンベルのフェルト沢靴をこれまで使ってきて、フェルトが減ってきて衝撃が直に来るようになったので、今日がこの子の最終沢登りです。
初めに現れる堰堤は、左岸から巻きます(左岸とは川の進行方向の左側のこと)
だんだんと岩が大きくなってきます。冷たい水を何度も渡渉しながら進みます。凄まじい岩壁が現れてきたら、この先の曲がり角に三段滝があります。
08:50三段滝。濡れOK装備でも、ここを直登するのは無理な気がします。
三段滝から黒滝の落ち口へ高巻き
ここだけがこの沢登りの難所です。右岸から高巻きし、三段滝と黒滝を越えて黒滝の落ち口に出ます。登ってみて思うことは、高巻きのルートは一つしかなく、わずかな目印を追うシビアなルートです。
三段滝の右岸、ここから高巻き開始です。緑が密集している部分を登ります。
まずはトラロープを頼りにガレ場を登ります。
トラロープは早々になくなりますが、そのまま木を頼りに登ります。木がないと登るのが困難な崖であり、手を滑らせると危険です。土砂崩れ等で木がなくなると突破不可能かもしれません。
もう上に行けないところまで登ると、そこからトラバースです。トラバースポイント付近に目印がありました。すぐ隣は落ちたら終わりな崖なので、藁にも縋る思いで木や草すべてをつかみながら進みます。
トラバースの途中で黒滝を拝むことができます。あわよくば黒滝の目の前まで行こうかと思っていましたが、周到な準備がないと無理です。
トラバースして行くと藪の中にわずかなルンゼが見えてきました。
このルンゼを下れば黒滝の落ち口に出ます。途中まではロープ無しで下りられましたが、最後少し足場が悪いのでロープで懸垂下降します。20mで十分でした。


10:00黒滝落ち口。凄い高いよー。
黒滝落ち口→百四丈滝
あと少しのゴーロ歩きで百四丈滝です。
10:30百四丈滝到着。崖から落ちてくる水。でかい!
百四丈滝満喫
滝の目前に着いて思わぬ誤算がありました。水飛沫が凄すぎてレンズに水滴がつき、ほとんど撮影ができないのです。滝壺を写す=水飛沫やばいので、滝壺を写せていません。この距離でも水飛沫の射程距離です。
水飛沫に特攻の一枚。もう一つ誤算が、水飛沫によって滝壺付近が氷の世界になっていました。ツルツル滑って、歩きにくいなんてもんじゃありません。
何とか滝裏に移動しました。滝裏だと水飛沫も弱まるのではと淡い期待をしていましたが、そんな甘いことはありません。正面から雨が降ってきます。
滝壺はなくて、水たまりのイメージです。夏なら滝下に突っ込んだでしょうが、地面が凍り付くほどの寒さですので、この環境下にいるだけで必死です。
オーバーハングした岩壁から落ちてくる水。 滝裏にぽっかりと空間があるからこそ見れる景色です。日本でこの規模の滝裏から見れる滝は少ないのではないでしょうか?
落ちてくる水はフワフワと漂い、つねに姿を変えるので、見ていて全く飽きません。これは狼の群れのようです。
もう寒い。。どうにか自撮りして、撤退です。
水飛沫を可視化しました。太陽が滝に当たるのを待ちたいところですが、太陽の経路上滝に光が届かないように見えました。季節によってはずっと日陰になるのでしょうか?
百四丈滝→駐車場へ
11:45出発。名残惜しいですが、もう出発しないと日が沈むまでに帰れません。紅葉が綺麗で、光もあたりポカポカ陽気です。
百四丈滝よさようなら。また冬に来るね。
12:10あっという間に黒滝の落ち口です。覗いてみました。遠近感が伝わりませんが、めっちゃ高いです。
ルンゼに目印があります。ここから登り返して巻きます。
黒滝の目前に降り立とうとルートを探しましたがみつからず、必死だったので気づいたら写真も撮らずに三段滝が見えてきました。黒滝に行くには、三段滝登るか、黒滝の上から懸垂下降するしかない気がします。
13:20トラロープポイント。まだ手で持つ分は大丈夫そうでしたが、信頼できるロープの状態ではありませんでした。
後は危険個所もないので、のんびりとゴーロ歩きです。
丸石谷、ゴルジュとは違う雰囲気ですが、壁の高さは尋常ではありません。
紅葉はピークでしょうか。綺麗です。まぁ基本的には足元しか見ていなくて、景色を見るのは止まって休憩するときだけですけどね。
15:00入渓点に帰ってきました。やっと緊張感から解放されます。紅葉が綺麗だ。日も傾いてきています。
16:00駐車場に帰ってきました。トイレ付きの良いスペースです。
駐車場目の前の岩間温泉で疲れを癒します。お風呂は内湯と露天風呂の2つです。何と露天風呂は混浴!今どきは珍しいですね。のんびりとさせてもらいました。
秋の百四丈滝見物。マイナスイオンを体の芯が冷えるまで浴びて癒されました。次行くことがあれば、黒滝を正面から拝みたいものです。
今回の山行で活躍した道具
カメラ装備
カメラバッグは自力で編み出した方法で使っていますが、本当に便利です。
ノースフェイスのカメラバッグ
α7IIは登山の相棒!
でかい滝には広角レンズ、SEL1635F4。
登山装備
アクティブスキン上下は沢登でも使えるし、雪山でも使えて便利です。
今回は沢登というよりは登山でしたが、沢登り装備はこれを参照下さい。