落差90mの百四丈の滝(ひゃくよじょうのたき)。冬には滝壺に氷の壺ができ、面白い光景を見ることができます。滝だけを目当てに行きましたが、それ以外の景色も美しく最高の登山ができました。
前日にも挑みましたが、前々日に40cmほど積もったためラッセル時間切れで撤退しました。そのリベンジ登山です。
※雪庇の真横を通る危険ルートであり、冬は一般登山者がほとんど入らない山です。また、日帰りは健脚向けですので、避難小屋泊をお勧めします。
場所:石川県白山市
日程:2019年3月9日、1人
獲得標高:2036m
距離:18.2km
出会った自然の絶景
道中に迎えた暖かい太陽。
爆風吹き荒れる雪山。この先に行った者だけが、氷の滝壺を見ることができる。
落差90mが作り出す氷壺。
登山計画
ルート
02:40駐車地→05:45導水管経由で加賀新道を通り分岐地点→07:20奥長倉避難小屋→09:10百四丈滝降り口→11:15奥長倉避難小屋→14:10駐車地
登山時間:11時間45分(夏道コースタイム10時間25分)1.1
詳細はYAMAPリンクをどうぞ(https://yamap.com/activities/3229899)
駐車場
一里の温泉スキー場の少し先のスペースに駐車しました。8台ほどは停めれそうです。
装備
- 服装上(インナー、長袖、ソフトシェル)
- 服装下(インナー、厚手防風ズボン)
- 足元(冬靴、ゲーター、ワカン)
- カメラ(α7II、SEL24105、SEL1635)
- 三脚、使用せず
- ドリンク(ハイドレーション1.5L)全て使用
- 手袋(インナー、テムレス)
- 緊急用(ツェルト、防寒着上下、冬用手袋)(使用せず)
- 小物(ヘッドライト、救急セット、タオル、バラクラバ)
- 食事(パン、行動食)
- 滝壺接近用(ピッケル、ヘルメット、アイゼン)(使用せず)
登山
駐車地→奥長倉避難小屋
02:40駐車地出発。昨日に引き続きリベンジです。昨日は2人で入り、さらに2人登ってきたので4人分のトレースがあり安心です。ワカンを装備して行きます。
導水管ルートへの取り付きは、まず藪をかき分けて進みます。登山道はないので、とにかく直登すれば辿り着きます。
導水管取り付き。踏み跡はたくさんあるので、サクサクと進みます。昨日はここで15cmほどの積雪でズボズボでした。
新月なので星がとても綺麗です。街に近いためか天の川は見えませんでした。F4手持ち撮影では全然撮れません。
導水管を越えると、比較的なだらかな斜面を進みます。日の出50分前のほのかなグラデーションがたまりません。
ヘッドライトが不要な明るさになり、山頂が見えてきました。右上の平らな場所が今日の目的地です。ここからアップダウンの連続です。
日の出40分前。この景色を見れただけでも今日来て良かったです。
雪庇を避けながら進むので、ルートファインディングが重要です。昨日のトレースがあるのでサクサク進みます。
後ろを振り返ると、左に大笠山、右に笈ヶ岳。あの山々の縦走も楽しそうです。
昨日はてんこ盛りの霧氷でしたが、たった1日でほぼ全滅していました。
太陽の後ろ側を見ると、地球影とビーナスベルト。地球の影が大気に写る幻想的な光景です。町中でもごくまれに見ることができます。
トレースがあると進みが早く快適です。今のところは昨日の疲れもなく元気です。
太陽おはよう。最高の天気で空気も澄んでおり、太陽の明るさを全身で心で感じます。
ちょっと風が強くなってきました。舞い上がる雪にあたる光も美しいです。
目的地の台地はもうすぐです。
雪庇がくずれてクラックになっています。ここから落ちるとやばいですね。
避難小屋が見えてきました。07:20奥長倉避難小屋到着。昨日は6時間かかった道も、4時間40分で着きました。
避難小屋→百四丈滝降り口
避難小屋を越えてから、爆風地帯の片りんを見せ始めました。白煙はすべて雪が舞い上がっているのです。
美女坂の直登ゾーンです。風でトレースが消えている部分もありますが、トレースを探し出しちゃんとその上に乗れば、階段を登るのと変わりません。
爆風に雪煙が舞い踊ります。めったに見れない景色に見とれます。
美女坂も終わりです。この先は、爆風が吹き荒れる白い世界です。
来ました白い台地。風速15mぐらいあるでしょうか。途切れることのない風にテンションが上がる人は少ないでしょう。笑
先行者のトレースはほとんど雪で埋まっていますが、何とか探しながら進みます。固い雪と30cmぐらい沈む雪があり、少し歩きにくいです。雪庇があると思いなるべく木の近くを歩いたのですが、実は大きな雪庇はなく台地序盤から氷壺は見えたようです。
雪煙と木々のコラボはかっこいい。少しでも軽量化をと思いハイドレーションを選択し、小まめに飲むことで凍結を避けていたのですが、ここにきて環境の厳しさに飲むのを忘れ、凍結させてしまいました。
09:10景色に見惚れているうちに、滝を越えて行くところでした。見えました!先行している2人は滝壺まで行くと言っていたので後を追います。しかし、これは判断ミスでした。奥の人の近く、滝壺に行く斜面で雪崩が発生しました。巻き込まれなくてよかったですが、今私がいる場所も危険ということです。
滝壺まで行くのは危険なため今日はここまでです。気温が高く凍りついた斜面に、最近新雪が積もった状況をよく考えれば雪崩が発生することはわかります。安易な行動に深く反省です。
危険地帯はすぐに抜け出す必要があります。自分が下りてきたトレースも消え、膝ラッセルで頑張って登ります。
先行の2人も登って来ます。もし雪崩れたことを考えて常にお互いを確認しながら行きます。
百四丈滝降り口→奥長倉避難小屋
前日に続き現れた私に、滝壺よりも驚かれたようです。2人としばし雑談を楽しみましたが、爆風地点で寒いので下山します。雪煙をまとった四塚山も美しい。
私が写真を撮っている間に、また1人登ってきたようです。
シュカブラが美しく、見惚れるポイントだらけです。何で自然にこんな形になるんでしょうね。
滝壺まで行けなかったのが残念ですが、遠くから見るだけでも中々の迫力です。
四塚山から清浄ヶ原を越えて百四丈滝。
そろそろ帰ります。右側に雪庇はありますが、想像より大きくはないのでぎりぎりまで近づけます。
危うく下山ルートを間違えて白い台地の先まで行くところでした。この取りつきはわかりにくので注意です。
楽しい楽しい下山です。登りはめっちゃきつくても、下りは飛ぶように行けるから、雪山はそこも好き。
雪煙を纏った山は恐ろしくも美しくもあります。
登ってきたワカンのトレースが化石になっています。
11:15避難小屋到着。やはり下山は早い。
奥長倉避難小屋→駐車地
登って来たトレースはすでに消えています。
たまに落とし穴があり、胸まではまりました。
下山とは言っても、結構登り返しがあり堪えます。凍結したハイドレーションが溶けてきたので、飲みまくり復活。
白い爆風台地よさらば。
1人すれ違いました。明日の天気は午後から雨なので、声をかけましたが、午前で行けるところまでは言ってみるとのこと。氷壺見れたかな?
下りでもさすがに疲れが出てきました。(昨日に引き続き2度目ですから)
下まで来ると雪はシャリシャリです。
導水管まで来ると後少し!
14:10やっと帰ってきました。大変お疲れ様でした。
連日の長距離登山。日頃の運動の体力があってこそできた山行ですが、とても疲れました。それでも、自信を持って登って良かったといえる全てが美しい登山でした。
今回の山行で活躍した道具
カメラ装備
カメラバッグは自力で編み出した方法で使っていますが、本当に便利です。
ノースフェイスのカメラバッグ
α7IIの寒冷地性能は貧弱なので、氷壺付近の爆風地点では、5分に一回温めたバッテリー交換が必要でした。
この画角が便利すぎる。SEL24105F4
登山装備
値段は高いが、それに見合う素晴らしいソフトシェル。防水ではないですが、防風性能は高く、よっぽどの爆風でない限り雪山でも活躍しています。4年使っても新品同様の丈夫さ。
さすがファイントラックの優秀なソフトシェル。防水ではないですが、雪はつかないし、防風性能は高いので、雪山でよく使っていますが、今回はミドルレイヤーポジションでした。
アクティブスキン上下は雪山必須装備です。汗冷えを感じません。
安定のストックです。
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前日の撤退記録です。