池郷川の沢登りは上流から、上部、中部、下部と分かれており、そのどれもが沢4級以上の高難易度です。その中部に行ってきました。
この人生の中で、まさか行けるとは思わなかった池郷川本谷。両側壁の巻道なんてない大ゴルジュ。肩をかりて登り、登攀具を駆使して登り、辿り着いた核心のネジ滝。私1人では絶対に来れなかった、全てが最高の景色。沢登りに出会えて、楽しい人生はもっと楽しくなりました。
レベル:沢5級
オススメ度:★★★★★
場所:奈良県
日程:2017年9月23日(土)
人数:4人
所要時間:11時間
心に残る自然との対峙
両側を壁に囲まれた大ゴルジュ。巻道なんてない逃げ場なしの沢登り。
ラスボスネジ滝。釜は大きく、滝の水量も凄まじい、池郷川の凄さを物語る絶景空間。
計画
ルート
06:30駐車地→07:00入渓→08:30中部メインゴルジュ入口→11:15ネジ→13:30突破、1時間ランチ→14:30出発→14:50上部入口、1時間20分散策→16:10上部入口→17:30林道(デポした車で駐車地へ)
登山時間:11時間
駐車場
林道の途中、広い場所に駐車しました。一台は林道終点にデポしてきました。
装備
- 服装上(インナー、セミドライスーツ上下一体)
- 服装下(アクティブスキン、セミドライスーツ上下一体、半ズボン)
- 足元(サワーシューズ)
- 防水カメラ
- ヘルメット
- 昼ごはん
- ドリンク
- 緊急用(タオル、緊急セット)使用せず
沢道具。リードは隊長に任せていたので、後続用装備のみ。
リード用装備など(隊長任せ)。カムでの支点構築多数必要でした。
- カム各種
- クイックドロー数本
- ザイル50m
- ザイル30m
- アッセンダー
- アブミ
沢登り
駐車地→メインゴルジュ入口
06:30駐車地発。池郷川の支流の沢には何度も通い、満を持して挑む池郷川本流。気合いが入ります。
沢に向かって、レール沿いを中々の距離激下りし、よく揺れて強度が不安な橋を渡ります。
吊り橋からは巨岩群の綺麗な沢が見え、ワクワクが高まります。
07:00入渓。
巨石群は小滝が多く楽しいのですが、メインゴルジュまでまだ遠いため、なるべくサクサクと行きます。
太陽の恵みが美しい。
石ヤ塔のトンガリ具合は登りたくなりますね。
巨石群の沢を避けて、沢横の踏み跡でショートカットします。獣道のような踏み跡があり、それなりに進みやすいです。
メインゴルジュ手前を見計らって、沢に降ります。中々の高さがあり、2回に分けて懸垂加工。
ウェットスーツでの陸地歩きは応えます、やっと水でクールダウン。
メインゴルジュまでもう少し、水流に負けずにサクサクと進みます。
池郷川中部メインゴルジュ
08:30ゴルジュ入口到着。両側を壁に囲まれて、逃げ場がなさそうな道にワクワクです。
チビチョックストーン滝に虹です!
天然の洗濯機に回されたり、テクニカルに進んだりでみんな楽しく笑顔が溢れます。
デカイチョックストーンは、下から潜ります。アトラクションみたいで楽しい!
1つ目の人工登攀。隊長がサクッと突破し、後続は楽々登っていきます。
ここで私のモンベルの沢用ハーネスに問題が!バックルの固定部分が壊れた!やっぱりクライミング用のしっかりした物の方が良いと思った瞬間です。(ただ、破損を無料で修理してくれたモンベルはさすがです)
2つ目人工登攀。全体的に滑らかな岩質で掴む場所はほとんどありません。あるのは薄いクラックのみ、よくできた課題ですね。
残置も借りて、カム連打アブミで突破。戦略を事前に考えて必要な道具を揃えてくれてありがとうございます。
後続は垂らしてくれたロープを伝って登るだけです。
越えたところから、ゴルジュはより深まってきて、寒い水を泳ぎまくりです。
小さめの滝も流れが強く侮れません。何とかへつったり、ロープも出してもらったりで進みます。
圧倒的なゴルジュのお出まし!
ただただ凄い景色。
浅いわけじゃありません、大きな岩に乗ってるだけです。
11:15ついに来ましたネジ滝。全貌が伝わりませんが、全体を壁に囲まれた空間です。
とりあえずテラスに登りました。滝に接近した場所からだとフリーでテラスまで登れました。
キマってる!
お分かり頂けるだろうか。滝の右側の空間が抉られていますが、これは昔の流れが作った跡。昔の水量どんななん!?
隊長頼みます!
ボルダリングなら出る一歩が本番だと怖いものです。苦労していましたが、フリクションが効くことがわかってしまえば難しくはないようです。
ロープが来てしまえば、楽なもんです。リードで行く人の勇気には脱帽ですね。
昔はこの部分を水が流れて、空洞まで行っていたようです。他にも昔の流れがわかる地形が残っており、今より+1,2m程水位があったようですが、その姿も見てみたい…。
13:30全員突破して、のんびりランチタイムです。
14:30出発。ネジ滝が終わればもう中部も終わりです。サクッと上部出合まで行きます。
池郷川上部見学
14:50池郷川上部出合。帰り道は大又谷の方向ですが、時間があるので上部を少し見学しに行きます。ここのゴルジュは何度来ても素晴らしい。
地味に難しい滝を越えれば、
15:20モアイ到着。ここから先は時間がかかりそうなので、ここで引き返します。
帰りは流れに身を任せて楽々〜。
しばし綺麗な大峰の緑色を堪能して泳ぎます。ゴーグルで潜るとまた楽しいんだ。
大又谷から帰還
帰りは、大又谷を少し登ってから、林道に登るルートです。この岩場が難しいんですが、良い課題です。上手い人は道具なしでいけます。
沢を少し詰めます。
途中で踏み跡を辿って林道へ。水を失った魚たちは陸地でヒーコラ言ってます。
17:30林道終点に到着。デポしておいた車で出発地点に戻ります。
池郷川の圧倒的な大ゴルジュは最高の景色でした。
活躍した沢登り道具
沢登り装備は、色々試してきて自分に合った装備がわかってきました。 kuromenboo.hatenablog.com
今回は通常の登山ザックを代用していますが、後日この防水リュックを購入して使っています。完全防水で水は入ってきませんし、重量が軽いので、沢登り以外にも使い勝手がよく、日帰り登山でよく使ってます。
今回の沢靴はサワーシューズでしたが、登攀能力の点でラバーソールのサワタビの方がオススメです。ただ、フェルトに比べてソールが薄いので長時間歩くと足裏が痛くなります。
今回のハーネスはモンベルの、サワークライムシットハーネスを使用していましたが、ロッククライミング用がオススメです。強度も高く、カラビナをかける場所も最適化されてるし、重さは気になりません。
ロープで確保しながら登るとき用のマイクロトラクション。滑りが抜群に良く、小さいので買って良かった一つです。ロープに固定し、登る側には動くが、落ちる側では止まり、安全を確保できます。
沢で使っている防水カメラはこれです。大きな不満はなく、マクロ撮影もできて便利です。
アクティブスキン上下。通常の登山であれば保温性を感じますが、泳ぎメインの沢で完全に濡れて乾く暇もなければ保温性はほとんどなく、お守りみたいな感じですが、着てます。ウェットスーツ必須です。