初冬の剱岳を眺めに、馬場島荘から大猫山と猫又山を縦走して来ました。剱岳西面のカッコ良さを間近に感じられるルートです。この季節の積雪変化は大きいですが、この日は吹き溜まりでも15cmぐらいの沈み込みで歩きやすかったです。
・登山中ずっと見える威厳に満ちた剱岳
・大猫山から猫又山の険しい登山道
・熊の足跡を辿る猫又山の下山路
歩きごたえ抜群の猫の名を持つ山で、とても楽しい登山ができました。
場所:富山県
日程:2020年11月22日(日)3連休中日
獲得標高:1684m
歩行距離:14.8km
登山時間:8時間20分
出会った自然の美しさ
月が沈んだ闇夜に浮かぶ剱岳。大猫山の急登を必死に登り、ふと振り返るといる圧倒的な存在感。
何か切ない気持ちになるビーナスベルト。静かな美しさに見惚れる。
太陽が富山の街を照らしていく。山側からしか見えない大きな山の影は、下界にいれば気付かないだろうと思うと面白い。
大猫山から猫又山へ。そこに待ち受けるのは一般登山道とは名ばかりの不明瞭なヤブの道だ。
登山中ほとんどの場所で見え、常に存在感を放つ剱岳。カッコ良い姿で心を掴んでくる。
日程と装備
ルート
04:15馬場島荘→04:45大猫山登山口→08:10大猫山→09:45猫又山→12:30馬場島荘
登山時間:8時間15分
登り:5時間30分(標準CT:5時間30分、1.0)
下り:2時間45分(標準CT:4時間20分、0.6)
駐車場
馬場島荘に駐車。(12月1日〜4月1上旬まで伊折ゲートが閉鎖するので、11月30日までしか車が入れない)徒歩5分ぐらいのもう少し先にゲートがあり、そこまでは車で行けたようです。
装備
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行動着上(薄手インナー、半袖)
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行動着下(長ズボン)
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足元(3シーズン靴、チェーンアイゼン)
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カメラ(α7II、SEL24105F4)
- 三脚(軽量)
- ウィンドブレーカー、使用せず
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レインコート上下、使用せず
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ハイドレーション2.5L、1.5L使用
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ヘッドライト
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小物(救急セット、携帯トイレ)使用せず
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ツェルト(緊急用)使用せず
- ダウン上下(緊急用)使用せず
- ゲイター、ワカン、使用せず
登山
高速のサービスエリアで車中泊し、朝早くに馬場島荘に入りました。車中泊→トイレ→朝ごはん食べながら登山口へ。が私のスタイルです。
馬場島荘→大猫山
04:15馬場島荘出発。既に10台ほど車が停まっていましたが、早月小屋泊組でしょうか?月明かりはなく、星が煌めく闇の中を歩き出します。(気温4度)
04:45大猫山登山口。暗闇だと見逃してしまいそうな入口ですが、目印のおかげで助かりました。
初めはあまり景色は見えないので、黙々と登ります。登山道は刈り込みされていますが、基本根っこの階段などで、踏み跡が登山道になったような道です。急なので手も使いながら登ります。
木の間から見え出し、途中から後ろからずっと見守ってくれる剱岳。暗闇の中でもその存在感はすごい。
先週末に降り積もった雪は、溶けてほとんど残っていないと思っていましたが、表面だけ残っていました。落ち葉と雪で滑りますが、チェーンスパイクで歩きやすくなりました。
太陽は剱岳の方向から登るので、後光が差すように明るくなる剱岳方向。美しい。
ここの登山道は急登で自然の道なので、歩きにくくペースが上がりません。急な危険箇所にはロープが設置されており、下山でも安心なルート設計ですが、落ち葉があると下山は大変な印象です。それにしてもチェーンスパイクはいい仕事をしてくれます。
富山の街方向に綺麗なビーナスベルト。
少し雪は積もっていますが、表面だけなので、チェーンスパイクで問題なくサクサクと進めます。
富山の街に光が注がれる。影が山の形をしていることに気付き嬉しくなります。これを知っているのは山の上にいる人だけだろう。
剱岳はあいにくの逆光方向なので、美しい陰影は見れませんが、迫力は凄まじい。ちなみにこの姿は登山中にずっと見えており、この登山道の醍醐味です。
大猫平まで来て、やっと大猫山が見えてきました。道は少し不明瞭ですが、細かい間隔で赤目印が設置されているので、道を逸れずに進むことができました。
大猫平には、平な場所が多く、池もいくつかあり、とても素晴らしい場所です。ここでテント泊して、夕日に照らされた剱岳を見ながらのんびりできたらさぞ気持ち良いことでしょう。(うさぎの楽園なのか、足跡はてんこ盛りあった)
少し登って大猫平を見下ろす。これまでの登りの疲れが吹き飛ぶほど、大猫平から大猫山までの道は楽で、非常に気持ちよく、眺望も最高!
少しヤブっぽい点はご愛嬌。
猫又山付近から見る剱岳。圧巻だ。 pic.twitter.com/IhLIRAesp1
— Ken (@Ken_enjoy) 2020年11月22日
猫又山が見えてきました。景色最高な台地を堪能しながら大猫山を経由して、のんびりと猫又山へ向かいます。08:10に大猫山通過。(大猫山山頂にはお地蔵さんがいるようですが、見落としてスルーしてしまった…)
大猫山から猫又山への道。この台地は気持ち良すぎた。
— Ken (@Ken_enjoy) 2020年11月23日
この先は、一般登山道と呼ぶべき道ではなく過酷だったけど。#大猫山#猫又山 pic.twitter.com/gmM648pvpS
大猫山→猫又山
いざ猫又山へ!地図上はアップダウンは少なく、気持ちの良い縦走路と思わせておいて、この先に待ち受けるのは、一般登山道とは名ばかりの最上級に不明瞭な道です。
一般登山道なの?普通にヤブだらけで道とは思えないけど?という場所が登山道です。
お、明瞭な尾根道じゃんと騙されてはいけません。途中で道がなくなっていることにお気づきになるでしょうか?とにかくこの尾根から離れると迷いかねないので、それだけは注意して進みます。
途中でコツを掴みました。それは、ヤブがあろうとなかろうと、尾根を突き進むこと。これが正解ルートのパターンが多かったです。
猫又山が近くなってきました。山の名の由来は、猫又(妖怪)が逃げてきてここに移り住み、沢山の猫の鳴き声が聞こえる怪異現象からだとか。
険しい道はまだまだ続きます。
剱岳は常に見えてるよ。
人工物があると道が正しいことがわかるから安心します。
猫又山が近づいてきて、何となく登山道が姿を現してくると、尾根沿いではなく踏み跡のような場所を進めばいいのですが、途中でまた見失う。
この開けた場所からヤブ側に入るところが1番わかりにくかったです。思ったより上からヤブに入れば、登山道が続いていました。
遮るものは何もないですが、風はほとんどなくポカポカととても快適で景色は素晴らしい。しかも貸切とか最高すぎる。
登山道の場所はわかりませんでしたが、最後はとにかく直登で山頂へ!ラッセル程でもなく、15cm程の沈み込みです。斜面は急なので、凍っていたら危険ですが、この日は滑っても途中で止まる積雪加減なのでまだ安心です。
09:45猫又山到着。この稜線だけは爆風で寒い。お地蔵さんこんにちは。
富山街がこんなに見えるとは意外です。街からも私のことは見えていて、また、この山はいつも見えているということなのですね。
釜谷山、毛勝山方向。今立っている猫又山を入れて毛勝三山です。
素晴らしい景色を動画でどうぞ。
11/22 猫又山からの景色。貸切バンザイ。 pic.twitter.com/oafVJyJWT1
— Ken (@Ken_enjoy) 2020年11月27日
猫又山→馬場島荘
この素晴らしい景色を堪能しながら下山路へ。雪原を下り、剱岳に続く尾根を伝ってブナクラ峠へ向かいます。辛かった登りも、下山は楽なもんです。
いつ見てもカッコ良い剱岳。
後立山連峰も綺麗に見えます。右から鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳(頂上小屋見えた)、旭岳、鉢ヶ岳、雪倉岳、朝日岳。
雪原のどこに登山道があるのかはわかりませんが、ケルンが作られており、間違ってないことはわかります。
ここの下山路は、雪のためか不明瞭ですが、登山道は少しヤブが開けているし、目印もあるのでわかりやすいです。
熊の足跡を辿ってブナクラ峠を目指します。足跡は、毛勝山方向から、この下山路の半分ぐらいまで続いていました。今日歩いたような足跡なので、熊注意!
下山路から見える剱岳は、ひたすらにカッコ良い。
細尾根を下っていきますが、道は明瞭で危険はあまり感じませんでした。熊の足跡が登山道の目印です。
ここから見える剱岳はカッコ良いですが、ずっと逆光で陰影は弱いので、陰影が強くなる昼過ぎからましてカッコよくなり、夕暮れ時が1番綺麗でしょう。
急な場所にはロープあり。
結構急で滑りやすいので、チェーンスパイクがなかったら怖かったかもしれません。この辺りで2名とすれ違いました。良い山だけど登る人は少ないね。
ブナクラ峠付近まで来ると、剱岳は見えにくくなってきました。さらば。
10:45ブナクラ峠。
ここからは何の難所もない、なだらかな道ですが、渡渉箇所はいくつかあるので、落ちないように注意が必要です。
不明瞭な道を歩いてきたので、まして登山道が恋しく、道がわかりやすいって最高だなと感じます。
登山道に川が流れており、目を疑いましたが、ここが道のようです。
林道まで来たら、もう終わりです。
12:30馬場島荘到着。下からも剱岳は見えたんだね。
下山後、富山の街から見えた剱岳。やっぱり存在感の大きさを感じます。
大猫山から猫又山縦走。剱岳の西面を眺める場所としては最高です。
縦走路は不明瞭で、一般登山道と呼べる道ではなかったですが、あまり手が入っていない道を、集中して登る緊張感もまた良いもんです。
夏はヤブが酷そうなので、秋に再訪したいものです。
今回の山行で活躍した道具
カメラ装備
カメラバッグは自力で編み出した方法で使っていますが、本当に便利です。
ノースフェイスのカメラバッグ
α7IIは登山の相棒です。kuromenboo.hatenablog.com
SEL24105F4の画角で切り取れば、ズームで大迫力で捉えることができる。登山にちょうど良い画角。
登山装備
チェーンスパイクは、少しの積雪、落ち葉、凍った地面で大活躍。
何かあった時のお守りツェルト2ロング。テント代わりにもなるので、買っといて損なし。
馬場島荘から行く山行
早月尾根から行く剱岳。